6月より事前審査を受け、申請をして、何度も構造計算のやり直しをして、やっと9月に入って許可が下りた現場があります。
法律では、申請を受付てしまうと21日以内に許可しなければならないために、最近では、事前審査という訂正期間を設けて、提出する前に不足部分の仮審査をしてくれます。
建築ニュースや噂には、聞いておりましたが、コンクリートの車庫の上に木造2階を載せる構造の家は許可が遅いということを。
ここまで、かかるとは思ってませんでした。
申請する側と審査する側の意見の違いというか、構造の解釈の違いがあり、ここまで、本当に必要なことだろうかと思われるほど、時間がかかりました。
なんと、地下車庫部分だけでも500ページ、木造部分300ページの構造計算書。
(写真 左 同程度の木造建物の確認申請書、 右 今回の混構造の建物の確認申請書)
電話帳並みの申請書のできあがりです。
許可が下りたときには、担当の審査する側も、もうみたくない図面だとぼやいたほどです。ビルでも建てるのかと思うような書類と図面は、果たして必要なのでしょうか。
建築基準法がかわり、現在先延ばしになっている特例がはずれると、どの4号物件でも必要な図面がかなり増えます。
予行練習としては、いささか実務がかかりすぎました。
このような、ことは、すべて「姉歯問題」から派生しており、すごいとばっちりです。
厳密化することは、いいこともあるでしょうが、事務が煩雑になり、無駄な費用がかさみます。
過剰設計ともいえる設計書ができあがり、今まで、建ててきた同じような建物は、すべて既存不適格の建物になってしまうでしょう。
今回の現場も、両隣に同じような地下車庫がありますが、あまりにも構造的に差のある建物となります。
経済設計をしすぎてもいけませんが、過剰すぎるのも考え物ではあります。
耐震ばかりが世間をにぎわしている昨今の事情からいたしかたありませんが・・・・。
とにかく混構造だけは、簡易計算ができるプログラムができるまで、チャレンジしないほうが賢明かと思われます。
知り合いの設計事務所で、申請を業務にしている人にも聞きましたが、今は、この種の建物は、一切請け負わないと申しておりました。
先日の山辺さんの講習の際には、簡易的な計算方法をつくる用意があるとのことでしたので、早くできるといいです。
いずれにしても、建物の瑕疵保険といい、今回の厳密な審査といい、人件費が余分にかさみますが、くれぐれも、天下り先の機関の人員を増やす目的ではなく、純粋に国民のためにという思いで官僚が作った制度だと思いたいのですが・・・・・・