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この度、お施主様のご配慮により、土壁の家の現場にて

令和5年8月19日(土)10;00~12:00の予定で

竹小舞組+荒壁塗りのワークショップを開催します。

地下鉄桜通り線「国際センター駅」から徒歩3分の場所です。

駐車場はありませんので、コインパークをご利用ください。

詳しい現場位置については、参加者のみにご連絡をいたします

ご興味のある方は、どなたでも参加可能です。

汚れてもよい服装と着替えをお願いします。

靴も汚れるかと思います。

参加費は無料で先着10名といたします。

参加お申込みは、申込フォームよりお願いいたします

https://forms.gle/WgMm9tv135SSsudd7

竹小舞組み
荒壁塗り

今日は、日進東中学校の中学生6人の職場体験を受け入れ、初日を終えました。
改築現場で、左官の壁塗り体験をしました。
最初は、不慣れな子供たちの鏝さばきが、徐々にうまくなっていき
「楽しい!」と疲れもみせずに、二部屋の壁を全部塗りきることができました
明日は、建築現場に実際に行って、大工さんの仕事を見学します
(大江)
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平針南の家の返し壁塗り 片壁が乾いたので、返し壁土を塗ります

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外側の壁を返していきます この職人さんは、荒壁土だけを専門として塗ってます

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伝統構法の住宅には、荒壁が最適ですね 調湿、防火、遮音、耐震性能があります 何より耐久性に優れて、100年をこえても大丈夫な実績ある構法です

 

 

今回は、木の家ネットのメンバーと共同の話題提供ということで、「土壁」をテーマに書きます
土壁のことは、何度もブログで書いてきましたので、重複となることもあるかもしれませんが、
今回は、技術的なことも含めて書きたいと思います
①そもそも土壁が作られてきた理由
日本の東北から沖縄まで、住宅や蔵には、土壁が使用されてきました。
また、世界を見ても様々な国で使用されております
土壁を塗るための下地は、木(割った板状のもの)、竹、粗朶(木の枝)、葦、などを組んだものです
それらは、身近にあった自然素材です。
土は、最も身近な大地そのものです。
土の種類は様々ですから、そのなかで、塗りやすく強度のあるものに、経験が積み重なって、藁や草などをいれて
「壁土」を作ってきましたので、地方により、いろいろな多様性があります。
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宮古島でも土壁の家はできました
今の宮古島の家は、ほとんどコンクリートの家ばかりです
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庭の土に牧草を混ぜて作った荒壁土(宮古島はすべて赤土)
②建築基準法の土壁が正しいのか?
その地方にあった独自の基準でないと一律にこの狭い日本で決めても、どこかの基準になってしまって
それを法律で縛ろうとすればするほど、経験の無い法律を監視する立場の方々は、数字にしばられてしまう結果になり
文化が消えていってしまいます。各地で土壁の実験が行われていますが、ほとんどが土壁の構造的な視点での実験です。
土壁は、構造のためだけに存在するのではないはずなのに、地震の度にその話題に引き込まれます。
思った以上に構造に対しての評価は高いので、安心ですけど、もっと、違う角度から評価する方法を示す必要があります。
③蓄熱と断熱、遮熱、防火について
土壁は、断熱材という視点から見ると、
断熱材とはいえないくらいの数字(熱伝導率ー土壁0.6W/m.k グラスウール0.05W/m.k)です。
グラスウールの約1/10以下しかありません。
じゃあ、感覚的にどうでしょうか?
グラスウール10CMと土壁140CMが同じ断熱効果だと思えますか?
感覚的におかしいですよね
そんな洞窟みたいな壁の家は存在しませんよね
それは、土壁の持つ蓄熱性が、グラスウールなどとくらべて約数十倍もあるからです
御施主さんのなかで、こう言われた方がありました
「夏に友達の家へ行くとムッとするけど、自分の家に入るとホットする」
夏は、風通しをよくしてやり、壁の温度をさげると本当に涼しいんです
冬は、暖房の熱を蓄えてくれます
時々しか使わないような別荘みたいなところは、冬だと冷え切ってしまって
なかなか暖まりません
毎日住む住宅であれば、熱を蓄えてくれます
その熱は、水蒸気の出し入れでも行われます
蒸し暑い時には、水分を吸い、乾燥したときには、水分を空気中に供給してくれます
ですから、断熱材という一面からだけの評価では、熱のことは語れないのです
建築基準法に「真壁同等」という表現があります
これは、22条地域などで、延焼ラインの中にある住宅の外壁は、土壁と同じ防火性能を有しなければならないということで
板金などで仕上げる場合は、土壁が無いと下地に石膏板を張らなければなりません
そういう意味では、土壁が建築基準法の基準になっているわけですが、昨今では、土壁をする工務店は数えるほどとなってしまいました
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初めての竹小舞組を習う地元の建築職人さん
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左官も大工もなんでもこなす島の人
④仕上げ方法について
私の設計する建物は、基本的に竹小舞い;藁縄しばりです。
荒壁土は、愛知県産の粘性土。泥コン屋さんで買います。
竹の編んだ格子の両面に荒壁土をつけ、外側にも中塗をして厚みを増します
内側の仕上げは、下塗り、中塗、仕上げです
中塗の土でおしまいのことも多々あります
漆喰仕上げは、最近では、仕上げの下塗り、中塗、仕上げと3工程
荒壁からだと同じところを6~7回塗ることとなり
ビニルクロスを張る手間とは比較になりません
当然費用もかかりますが、その分、長く使えて、メンテナンスはいらず色変わりもありません
⑤その他
遮音効果や見た目の美しさがあります
表面の仕上げは、漆喰に限らず、さまざまな表情もつくれますし、色もあります。
それなりの費用はかかりますが、費用のかかる分だけの価値はあるかと思います。昨今では、化学接着剤の入った壁仕上げ剤が安くありますが、やはり自然素材だけのもののほうが、色あせもなく長持ちすると思います。
伝統の技術にはそれなりの技が
隠されているのです
大切に土壁を継承していきたいものです

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親子で体験しながら、自分の家の壁を塗る(北名古屋市 T様)
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お子様にとっては、一生の思い出となります

2010/1/18 中日新聞、東京新聞朝刊 に掲載されました
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(記事をクリックすると大きく表示されます)
日本の家屋は、伝統的に土を多用してきました
それは、身近な素材であったことと
ここにも書いたようにいろんな特性を持っているからです
今日も名古屋の有松で、古い蔵の中で梅干しを三年寝かせておいしくしているのは、年中、蔵が一定の温度安定しているからではとお話してました。土の効用は大きいと思います。
バクテリアがたくさんいて、風邪のウイルスにもバリアとして働いてくれるようです
土壁が復権してくれることを望みます

岩崎の家
秋晴れのもと、朝から荒壁塗りのワークショップを行いました
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なれない手付きで、初挑戦
以外と重い土は、結構重労働
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左官屋さんの指導のもとで、塗りすすめますが
なかなかうまくいきません
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竹が縦になっている側から塗ります
横になっている側に泥のへそがたくさん出てこのまま乾燥させます
乾燥したら、返し壁といって、こちら側から塗り返します
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うちの末っ子もお手伝いです
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前田さんが丹精こめて、作った荒壁を運んでいただきました
発酵しており、ちょっぴり臭います
強度のある土壁ができます

日本の木の家(民家)において、不可欠なのが、土壁です。家全体の素材の質量からいうと、木材よりも、土の量の方が多いかもしれません。土は、壁をはじめとして、屋根瓦の葺き土や、土間の三和土としても使われています。このことから、“木の家”というより、“土の家”と云えるかもしれません。壁は、木造の建物の外壁や内壁に使用されています。伝統的な建物では、土蔵や城郭建築や土塀では、大壁の仕上げがなされ、柱が見えないように、柱の上に土壁がかかっているものが多いです。住宅では、九州から東北地方まで柱の見える真壁で、建てられている建築物が多く存在します。
住宅の真壁構造の土壁は、土をつけるための、小舞が組まれ、その上に荒壁が施工されます。小舞は、主には、竹が用いられますが、地方によっては、葦や木が使われる場合もあり、その地方で、まかなえる材料が使用されたようです。

使用される土は、粘性土が使用され、愛知県や三重県では、露天堀で、新土が掘削されていますが、全国的に需要が減り、田んぼの土が使用されている地域もあります。最近では、田んぼの土を使用したことにより、土に農薬が残留していたために、健康被害が出た例もあり、材料の厳選には、注意をはらいたいものです。採掘された土壁は、わらスサと混合され、わらスサが発酵して、繊維が多く溶けこんだ土壁ほど、粘り強くなります。土造りには、時間と手間がかかりますが、何度も混ぜ合わせることが最近では、困難になりました。少し前までは、田舎では、新築されることが決定したら、土造りから入り、施主が自分の庭で、何度もわらスサを混ぜては、練り合わせたようです。建て替えのケースでは、古い建物の土も、もう一度新土に混ぜ合わされ、リサイクルされました。古土は、たくさんのわらスサの繊維が溶けこんでおり、混ぜることは、非常に有効なことであったようです。

土壁の性能について、大きくは5つあると思います。
1) 耐力壁として
土壁は地震に弱いのではないかという誤解があります。各地で最近行われている実物大の耐震実験において、初期の地震力の圧縮に対しての強度が大であり、現在の壁量計算で用いられている数値より2~3倍の数値が得られている。
2) 断熱効果として
断熱材としては、熱伝導率の数値が高く、あまり効果がないように思われるが、実際に施工されている土壁は、実験室の数値とは、異なるように思われる。蓄熱効果などもあるせいかもしれないが、厚みを増すごとに効果が現れる。
3) 調湿効果
空気の湿度を調整をしており、夏の湿度の高い時には、吸湿し、冬の乾燥時期には、放湿して、室内空気の湿気を調整してくれる。バクテリアも住み、化学物質や臭いも分解してくれる効果もあるようだ。
4) 遮音効果
音は、質量が重いほど通しにくくなるため、厚みが増すほど遮音効果はあがる。また、塗り方(凹凸を作る)によっては、室内の音響効果を高める反射音の調整もできる
5) 防火(耐火)効果
不燃物であるから、防火効果があり、特殊な壁としては、旧町並みの中にある宇立(ウダツ)なども隣家からのもらい火を防ぐ、防火壁として設置された。また、室内側では、火事の際には、有効な防火壁として、別室への類焼を防ぐことができる。

 今は、急速に失われつつある土壁であるが、一部の地域では、まだまだ、技術者がおり、施工が続けられている、日本の伝統的建築には、無くてはならない工法であるので、今後も、継承者が続くことを祈りたい。

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