新築の家ながら、先代からの建具や家財道具がちゃんと居場所を得て、息づいています。
「亡き父が戦火の中、大八車にのせて自力で疎開先に運んだものなので、大切に使いたいのです」と、ご主人。
「古くてよいものは好きですが、昔ながらの日本家屋では私たちの暮らしになじまないと思っていました」と、奥様。
天井はなく、屋根を支える太い丸太の木組みごしにトップライトが明るく降り注ぐ開放的な居間空間。北側の部屋とは思えません。
伝統的な木組み土壁の家でありながら、洋風の雑貨やタイルがうまく調和して軽やかな雰囲気。住む人のセンスが生かされていますね。
リビング上の屋根裏には、お孫さんたちが来た時の遊ぶ小部屋が。
「お〜い!」と窓から手を振るのが子どもたちのお気に入り。
キッチンとひと続きの「キッチン納戸」はお勧め。小部屋にあがる階段もじつはここに隠れています。
食器は昔から使っている水屋箪笥(みずやだんす)におさまっています。
「物に合わせて棚をつくっていただいて、とても使いやすくなりました」
「せっかくの大皿をしまいこんでいては、もったいない」という奥様のご要望にお応えして、土壁に鉄の金具をつけ、飾ることにしました。
耐震性、飾る角度、見栄えを満たす金具は、ナチュラルパートナーズの仲間の鉄の職人、村瀬さんの作です。
元の家の床板を使って、床の間風引き出しの天板に。「ここに月替りのお軸や色紙をおさめています」
居間と寝室とは、直接にはつながらず、廊下でへだてられています。
廊下と中庭の間にはサンルームがあり、お嬢様手づくりのトールペインティグのテーブルと椅子が飾られています。
人の集まる空間と休息空間とが中庭を介してほどよい距離感を保っているのは、「来客中も静かにプライバシーを守れる空間を」との配慮から。
ご両親の寝室には、3面に窓が。
「朝がとても気持ちがいいんです」とご主人。
昼間でも休みたい時のために、ルーバー窓に。防犯と遮光とを兼ねて採用しました。
元はワインの瓶だったガラスを玄関戸に。
「こんなわがままも叶えてもらえて、嬉しかったです」とお嬢様。
古いものと新しいものとの融合。人が集まることとひとりになることの調和。好きなもの、大切なものが引き立つ暮らし。
そんな家づくりの夢を、ナチュラルパートナーズが応援します。